故・山出 保 元金沢市長を偲んで

 

 

7月14日、金沢市長を務められた山出保元市長がご逝去された。


市長はかつて「金沢は小京都ではない。唯一無二の歴史文化都市である」と毅然と宣言し、全国京都会議から脱退した唯一の市長であった。その言葉通り
金沢のまちと加賀の伝統文化を本当に深く愛しておられる方だった。

山出市長は、金沢の伝統文化の継承に並々ならぬ情熱を注がれ、同時代を生きる多くの若手伝統工芸作家たちに深い愛情でご支援くださった。私自身も作品展の折には温かい励ましの言葉をいただき、市の担当職員の方々にまで心を配ってくださったことを忘れない。

 

特に忘れ得ぬのは、私がアメリカで初めての個展に挑む際に、市長が「上坂は金沢で活動する若手友禅作家である。関係各位のご支援をお願いする」とのメッセージを託してくださったことである。その一文のおかげで米国初の手描き友禅作品展を成功裏に終えることができ、やがて国連での個展開催へと繋がった。

さらにその国連個展では、市長が設立された金沢21世紀美術館の初代館長であり、世界的に高名な蓑豊先生からもメッセージをいただき、経済面においても、市の制度を改めてまで助成していただいたことは当時の私にとって大きな支えになった。国連の場でお二人からの言葉を紹介できたことは、今となっては、僭越ながら金沢の伝統工芸作家として、日頃の市長の恩に少しでも応えることができたのではないかとのささやかな安堵の気持ちで救われる思いである。

 

市役所での姿も印象的で、市長が部屋に入られると職員の皆さんの表情が一気に引き締まったのを鮮明に覚えている。市の職員には厳しく、しかし市民には限りなく優しい──それが山出保市長の真骨頂であり、真のリーダーとは山出市長のような方のことを言うのだと思った。

 

市長が私たちに託された思いを胸に、私はこれからも微力ながら自分の使命を全力で全うしたいと思っている。

 

 

 故・山出保市長のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

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