師、新田邦彦氏のこと

35年以上前、量産体制の落款登録制の道を選ばず、悩み抜いた末に、「人生の最後に後悔しない道」と信じて個展を中心とした作家活動の道を踏み出した。「目指す夢」を食べながら創作を続けていたが、当然、信用もお金も無い、不安で潰れそうになる。

そんな中、九谷焼作家の新田邦彦氏と出会った。自分と同じ匂いがすると思ったのが第一印象だった。会って最初に「加賀友禅の業界では問屋に付かないで個展だけで作家をしている人は誰もいない。選んだ道は間違っていないと思うけど本当にやっていけるかやっぱり不安」ということをお話しした。

 

間髪入れず明快な答えが返ってきた。

「あんたの作品で人を喜ばせていけ。喜ばせていれば必ず(経済的に)廻る。廻らなくなったら、喜ばせていないと思え。木の上の鳥は木の実を食べて自分の糞を木の下のバクテリアに食べさせる。バクテリアは鳥の糞を分解して木の養分を作る。その養分を木が吸収して花を咲かせ実をつける。 みんなが生きていけるサイクルになっとる。 自然の摂理や。」「あんた1人が手作りしたものを社会が吸収できんはずがないやろ」

いっぺんに不安が吹っ飛んだ。「それならやっていける!」と心から納得できた。

 

以来、私は九谷焼作家 新田邦彦氏を師匠としている。焼き物と染め物の違いとかいうことは大したことではない。本当に大事な根っこのことはまったく同じである。根っこの無い作家は必ず枯れていく。

 

あれからほぼ40年、この教えをブレずに心に留めて作品を作ってきた。師の言われた通り、年を追うごとに自由に作品作りができてきている。

 

陶芸家なのに、友禅染の技法のことやら、作家とお客様の関係のこととか、展覧会のことなど多岐に渡って教えていただいた。おそらく日本中のどんな立派な大学の先生もこれだけの教え方ができる人はいないだろうと本気で思っている。どんな球を投げても必ず受け止めてど真ん中に投げ返してくれる。

追々、教えていただいた中からいくつか書き残したいと思っている。

 

 

 

 

 

  

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